失語症講習会in三鷹…そしてPOS研修会
日本各地からの参加者をお迎えし、今年度2回目の失語症講習会を我がふるさと三鷹にて開催しました。
だいぶ時間がかかりましたが、講習会で使用する音声・画像データの編集が進み、ようやく聞いてもらいやすい講義内容に整えることができました。ほぼ全員の参加者が基礎編応用編と2日続けて参加してくださり、2日目には親しさも増したせいか、質問が大幅に増えました。質疑応答を行うことで、こちらも参加者の理解度や疑問点がわかり、一歩踏み込んだ話も展開できた点が、今回の成果であったと感じています。
参加者との交流の中で、改めて現場のSTが明確な専門性を持ちそれを強化したい、と渇望している様子を感じることができました。STの専門性の核ともいえる「失語症の理解」をものにすることは、STのアイデンティティに直結することを感じます。専門職として自信を持って力を発揮していくために、お役に立てる講習会にできるよう、今後ますます努力していきたいと思います。
10月には、初めての名古屋開催を控えています。早々に定員に達し応募が締め切りとなり、参加希望のあった皆様には申し訳ありません。来年も名古屋開催を実施しますので、その際に参加していただければ幸いです。東京では、来年5月に開催予定です。サイトにてご案内しますので、お待ちいただければと思います。
さて、先週は福岡にて、回復期リハビリテーション病棟協会のPTOTST研修会が行われました。5月の東京開催に続く今年度2回目の研修では、第1回に引き続き、回復期リハ病棟生みの親である石川誠さん、PT協会会長半田一登さん、OT協会会長中村春基さん、ST協会会長深浦順一さんから、「先達から学ぶリハビリテーションマインド」と題した講義をいただきました。それぞれ胸の熱くなる素晴らしい内容で、若い参加者の心に届く様子が感じられました。さらにセラピスト10か条、PT・OT・ST5か条についての講義およびディスカッションを行い、PT、OT、ST合同でそれぞれの専門性への理解を深め合う研修となりました。
PTにとってのOT・ST、OTにとってのPT・ST、STにとってのPT・STは、自分を映し出す鏡であると感じました。自分だけで自分の専門性を明確にすることが難しくても、共にリハビリテーションを担い「できるADL」を向上させるための役割を果たさなければならないPT、OT、STは、お互いの専門性を考えることによって、自分の専門性に向き合っていくことができる、と思えたのです。3職種はそれぞれの役割を果たしながら、すき間が抜け落ちてしまうことがないように補完し合うために、協業し合い、時には相互に乗り入れながら、リハビリテーションを進める責務があります。
その先には、病棟の看護師・介護士との協働により「しているADL」を向上させる、という大きな仕事があり、そこへ進んでいくためにPT、OT、STが適切な風通しと議論できる関係を有していることは、本当に重要なことです。
そのようなことを考えながら、「回復期リハ病棟のPT・OT・ST」という枠組みの中で、それぞれの専門性を考えていく取り組みが始まったことは、画期的なことである、と感じた研修でした。同時に、STの専門性について、まだまだ明確にできていない部分があることがわかり、これからの大きな課題も突き付けられ、「道は遠い」ことも感じました。特に、ST5か条の中で高次脳機能障害をどうとらえるのか明確に示せていないため、混迷を深めている可能性について認識しました。(ここについては、必ず遅くならないうちに、問題を整理し、新たな視点を打ち出したい、と思っています)
疲労困憊の8月が終わろうとしています。混迷の中にも、いつも希望を感じ取っています。これからも、よろしくお願いします。
(写真トップは、失語症講習会、講師、関係者、参加者。下は、熱い講義を担当した4講師と会場の様子)