ST協会主催「回復期リハビリテーションにおける言語聴覚療法」講習会:基礎編を終えて
今年度初回となるST協会実務者講習会「回復期リハ基礎編」は、昨年度の回復期ST各論編に続き、多くの参加申し込みをいただき、またも締め切り前に受付を終了する盛況ぶりであった。理由の1つは、回復期リハ病棟協会の後援をいただいたことであると感じているが、時代を見つめ、現場で求められていることに応えたい、と思う開催者(ST協会医療保険部)の思いが、ようやく結実しつつあることの効果が
大きいのではないか、と感じた。私も医療保険部員の一員なのであるが、汗をかいて準備してくださった高野委員長、津村委員、堤委員、そして内山副会長に敬意を表したい。
「基礎編」と打って出たことにより、参加者のほとんどが経験3年未満であり、回復期に入職した直後の戸惑いや、どうしていいかわからない思いに、「なるべく具体的に答える」というのが、開催者の姿勢である。アンケート結果から、参加者の理解度は「よくわかった」には届かず「大体わかった」という人が最も多かったが、それ以下の人は少なく、満足度も高かったことから、妥当な内容であったと思う。
さて、私はこれまで以上に、「回復期で認知機能をみる上で、CBAを利用することが効果的である」ことを主張した。これまでは「1つの評価表として紹介する」というような気持だったが、遠慮がちに言うよりはっきり言った方が伝わるものは伝わる、と思うようになった。また、最近「回復期病棟での認知機能評価は、CBAを使う以外に方法がない」という確信が強くなっているので、強気に出ることにした、という姿勢の変化があるかもしれない。その結果CBAへの反響が大きかった。書籍購入希望もたくさんいただいた。感想を紹介すると、「CBAの話が興味深かった」「CBAをチームでの評価に活かせたらと思った」「CBAを用いて考えることで、日頃疑問に思っていたことの多くが解決した」などなど..。私の望みは、若いSTが少しでも自信を持って臨床できるようになることである。そのために、CBAを身につけることに効果がある以上、これからも信念を持って伝えていくことにしよう。
ところで、今回ADLの講義をOTにお願いしようということになり、今年度の当院CBA普及活動の中核メンバーである佐藤英人OT主任に、「STにとって必要なADLの知識」を話してもらうことになったが、こちらも大変評判がよかった。「ADLについて学べて良かった」「FIMの話が大変参考になった」「認知機能とADLを関連付けて評価し発信していくという視点が、とても参考になった」…。「OTから、「STがADLを見ていいんだよ」と言われて、とても驚き、新鮮だった」という声もいただいた。
「ADL」は「運動」と「認知」から成り、だからこそPT、OT、STは協力し合って、補完し合って、「できるADL」を向上させていかなければならない、というのが、私たちのゆるがない目標であり、これまで言い続けてきたことである。ようやく積み重ねてきた成果が現場の思いに応えられる時期に来たかな…。霧の先の一筋の光明を見つけたような、手ごたえを感じることのできた講習会であった。
この後、気を緩めることなく、活動を継続していこう。まずは、リハケア研究大会に向けて、いくつかCBAの成果を出さなければ!何本出せるか、鵜飼リハ病院CBA普及活動委員プラス共感してくれている周囲のスタッフ一同、力を合わせて気を引き締めて、取り組んでいく!