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​担当者:森田 秋子・菱川 法和

連絡先:E-mail cbaninchikanren@gmail.com

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CBA日記

サブリーダーシステム運営に向けて

 鵜飼リハビリテーション病院で導入しているサブリーダーシステムは、当院が目指す相互乗り入れ型チームアプローチの象徴である。

 サブリーダーシステムとは、患者さんを中心とする担当スタッフの中で、医師を除く看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の中から、患者さんの全体像をとらえカンファレンスを軸にした入院から退院までの流れを牽引していく役割を持つ人を選出し、その後の入院中のリハケアを進めていくシステムである。担当するすべてのスタッフが患者さんの全体像を描くことができ、認知、心理、生活、家族などの情報を共有し、複数職種が関わる領域を広げることを目指す本システムは、相互乗り入れ型チームアプローチを展開するための重要な役割を果たす。

 一般のリハ病院では、その役割は経験豊かな主任級のセラピストが担い、患者さんの予後予測や退院調整含めてチームをリードしていく。実力のあるリーダーが多数の患者さんを把握し若手を指導するやり方は、効率がよく間違いが起こりにくいというメリットがあるが、当院のように若いスタッフが多い病院では、数的に追いつかないという現状があり、何よりそのやり方ではスタッフが育ちにくいというデメリットがある。

 当院では、入職2年目からサブリーダーを担当する。1年目は、とりあえず自分の領域ができるようになることを目指すが、2年目には自領域以外の領域に対する理解を深め、自領域と他領域の情報を統合して患者さんの全体像を描くことが求められる。サブリーダーを行うことで、生活を含む予後予測や退院後の想定を考えるようになり、それがリハ専門職として成長していくための力となる。これまでリハ関連職種は、このような仕組みがなくてもいつの間にか自然にこれらの視点を身につけてきたのかもしれない。しかし、昨今のリハ現場を見ると「放っておいても育つ」という状況にあるとは思えない。当院において、サブリーダーシステムは若手スタッフの育成の仕組みの根幹である。サブリーダーをさせればできるようになる、とはいかず、細やかな育成の仕組みが必要である。サブリーダーの育成に関わる指導層をサポーターと位置づけ、彼らの標準化が重要である。今年度はPT・OT・ST各部門主任がサポーターに加わり、サブリーダー育成システムの確立に本腰を入れている。導入2年目となったサブリーダーグレード制の成否が今年度最大の課題であり、SCクラスから、SB、SA、SSへとスタッフを育成していく仕組みを、軌道に乗せたい。

 鵜飼リハビリテーションに来て、サブリーダーワーキンググループに参加して議論を重ねる中で、当初は「リハビリテーションはそれぞれの得意分野や経験を生かして、自由に指導していくのがいい」と感じていたが、多職種の主任たちと視点を共有しながら「サブリーダーチェックリスト」を作成する中で、サブリーダーに求められる視点を可視化し整理していくことの重要性を痛感するようになった。リハビリテーションは職人の世界で、「やり方は、私の背中を見て覚えなさい」という風潮が強いが、もうそんなことを言っていられる状況ではないのだ。少しでも早く自立してもらうために、わかりやすく効率よく指導できる力が私たちに求められている。

 さて、ここからは私の私見であるが、サブリーダーシステムを健全に普及・発展させていく仕掛けが、CBAの普及であると考えている。リハ関連スタッフが患者の全体像を作っていくときに、認知機能と運動機能を組み合わせて生活能力をとらえる、というのが最初である。そこに、家族・家屋状況等の生活背景、年齢・性格・合併症などの個人要因を統合して、退院先、適切なサービスの形やこれからの生活の様子を描いていくのが、リハビリテーションの基本的な思考過程である。この最初の段階で必要となる認知機能が「難解」であることが、リハビリテーションの難しさである。認知の情報をうまくクリアして自分に取り入れられるようになっていれば、あとの情報処理能力は、経験を積み重ねることにより自然と蓄積され磨かれていく。「こういう人は大体こうなる」「こういう場合は、ここに注意が必要」と、イメージを湧かす力がついていく。早くからCBAに触れ、認知機能にアレルギーのないリハスタッフを増産し、健全に患者さん全体像を描ける能力を育て、真の力を持ったリハ専門職を育てたい。そして、真の相互乗り入れ型チームアプローチを推進したい。

 夢は遠大…現実にはまだまだやることがたくさんある…。しかし、ひとつずつ成し遂げていこう。

(写真は、当院サブリーダーワーキンググループ主催、サポーター勉強会の様子、講師は責任者の佐藤英人OT)

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