国立病院STの会にて
名古屋に来てから親しくさせていただいている、名古屋医療センターのベテランSTの横井紀久子先生のお招きで、国立病院のSTが行っている勉強会でCBAの話をさせていただく機会を得た。今年の開催地は大阪刀根山病院ということで、初めて訪れた。国立病院のSTの皆さんにCBAがどのように受け止められるのか、いささか緊張してでかけたが、素敵な方たちとの出会いや再会があり、大変良い時間を過ごさせていただいた。地元大阪だけでなく、名古屋、東京はもとより、福岡や青森からの参加者もあり、国立系のSTの結束力の強さに感心した。急性期の方が多いのかと思っていたが、老人保健施設の方も参加されていた。終了後は良い質問をしていただき、議論も盛り上がり大変楽しかった。後日PTやOTの方も参加されていたことを知り、ありがたく感じた(話はすっかりSTのことに偏っていたので、申し訳ありませんでした!)。
大坂地区のSTにも声をかけていただいたため、ST協会の活動でよく存じ上げている、大阪保健医療大学の大西環先生も参加してくださっていた。終了後昼食をとお誘いしたところ、偶然帰りの電車で同じく参加してくださっていた大阪医療センターの古澤三千代先生ともめぐり合わせ、3人で楽しい大阪のランチとなった。梅田の街を見下ろす素晴らしいロケーションのレストランを見つけていただき、大変おいしいスパゲティを食べながら、急性期のST談義を繰り広げ、またCBAの感想もゆっくり聞かせていただくことができ、充実した午後になった。お二人には、このブログに記事にさせていただく許可もいただいた。古澤先生からはさっそくCBAの感想の投稿もいただき、実り大きい出会いに感謝感激だ(大西先生からも、お待ちしています!)。
午後のトークから…。
発症直後の患者さんに対して、医師から検査数値を求められることが多いという。症状は浮動的であり、検査を落ち着いて行える状態でないことも多い。検査を実施するたびに数値が変わることもある状況の中で、数値を示す。数値の解釈は、そうした状況を踏まえて行うことが必要であるが、表に出したとたん数値はしばしば独り歩きして、評価の真意を伝えられないことがある。血液検査やレントゲン検査の結果と神経心理学検査の大きな違いがここにある。CBAの段階評価の記述は、この時期の患者さんによくみられるなじみの症状が記載されていて、ベテランSTにとっては非常に使いやすいと感じたという。評価表をみながら、「ある、ある」「そうそう」と感じるとのこと。固定的な標準化された検査の数値で結果を示すより、CBAの段階評価に記載された用語を用いて示すことで、納得した評価結果を表すことができる、とおっしゃっていただいた。これは私にとって、大変嬉しい感想であった。
CBAは、高次脳機能障害の初心者が高次脳機能障害の理解を深めるためにも用いてもらいたいと思うが、実は経験豊かな人たちの直観や実感を可視化、数値化することも大きな目的である。これまであいまいなまま感じていたことを整理し、自分にとってわかりやすい視点で分類し、評価を行っていくことが、大きな目的でもある。実際にそのような感想をもらうことができ、改めて意を強くすることができた。
さらに使っていただき、ご意見をいただければありがたい。CBAは、可能性を感じて使ってくださった方々の力を借りて、この先育てていく必要がある。どうぞ、これからもよろしくお願いします。